昨日は、渋谷オーチャードホールにて
キース・ジャレット(pf)のトリオを聴いてきた。
生で聴いたのは今回が初めてである。
正直な感想を言うと、
少し期待外れだった。
敬愛する、大好きなトリオの演奏にこんな言葉は使いたくないのだが。
あまりにも期待が大きすぎたせいもあるだろう。
CDで何度も聴いている、あの神懸かった演奏と比べてしまうからだろう。
もしかしたら、年齢による衰えもあるのかも。そんな嫌なことまで頭に浮かんでしまった。
昨日はキースはあまり調子が良くなかったような印象を、少なくとも僕は受けた。
ゲイリー・ピーコックは一人気を吐いていたような感じを受けた。
デジョネットは、終始サポートに回っている感じで、キースに歩調を合わせているような感じ。
当たり前だが、これらはあくまでも僕個人の見解である。
それでも、あの3人が醸し出す特別な空気を感じ、一瞬一瞬の音に全神経を注いでいると、
素晴らしい音楽が聴こえてきた。
昔のような派手な展開にはならないけれども、
落ち着いた、正直で取り繕うことのない、清らかな音が聴こえてきた。
そう思うと、そもそも僕の期待した姿勢が間違っていたのかもしれない。
CDのような演奏が聴けるかもしれない・・・愚かな自分を反省。
そもそもジャズは、その一音一音が鳴り始めるまで、何が起こるか分からない。
今日という日が始まるまで、何が起こるか分からない。同じことだ。
昨日はバラードが多かった。雨が降っていたせいもあるのかないのか。
そんな中、アンコールの2曲目、最後の最後に演奏した
When I Fall in Love
キースの十八番中の十八番であるバラード。
この曲のエンディング、キースのカデンツァで、ついに神が舞い降りた。
とめどなく広がっていくあまりにも美しいメロディ、ハーモニー。
まだ続いてほしい、と思った時には、曲は終わりを告げた。
こんな瞬間が訪れるから、ジャズをやめることはできない。
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