2014年9月11日木曜日

ツアーをふり返り、のちMiguel Zenon氏のもとへ

ご無沙汰してしまいました。
久々に最近の動向でも書こうかなと思います。

その前に
6月の帰国ツアーに足を運んで頂いたすべての皆さんに
そしてお世話になったライブハウスの方々
並びに素晴らしいバンドメンバーの仲間たちに
改めて感謝したいと思います。
ありがとうございました。

短期間で継続的に集客を維持するのは
当然ながら一つの挑戦でした。
その中で
毎回満員のお客さんの前で演奏できたのは
本当に幸せなことでした。
沢山の聴衆の前で良い緊張感でできるのは
いい演奏をする上で最も重要なことの一つ
と思っています。
それが常に満たされていたことは
本当にありがたかった。
来て頂いたお客さんはもちろんのこと
家族をはじめとする
集客を共にサポートしてくれた方々にも
感謝です。

さて。。。
こちらに戻ってきて早2ヶ月が過ぎましたが
最近ようやく落ち着いた時間がとれたので
ツアーの録音を聴き返していました。

録画した映像を見返しながら
既に少し懐かしむような感覚を覚えました。

同じメンバーで短期間であれだけ連続してライブをする
というのは初めての経験で
実に貴重でかけがえのない時間でした。
今思えばもう少しうまくできた部分もあったかと思いますが
(演奏以外の面も含めあらゆる点で)
あの時点での自分にできるすべてを
未熟なりに出しきっていたように思います。

何はともあれ
人前で自分の一番やりたい音楽を
最高のメンバーと一緒に演奏する
しかも継続的に、という経験が
自分を鍛え上げてくれたのは
間違いないでしょう。

ツアーの最中は
俺はこのツアーを通して成長しているのだろうか
メンバーはどんどん自分の曲を消化し
音楽を発展させていっている一方で
俺は変われてないんじゃないかという
まあ今思えば無意味な不安もあったりしましたが
いざ録音を聴き返すと
成長している部分もあったりして
少しほっとするとともに
物足りない部分
技術的、精神的に改善していくべき課題が
たくさん見つかりました。

何はともあれ
最近はまたゆっくり着実に
自分の音楽を見つめ、日々新しい音楽にふれ
自分と音楽に向き合う時間を過ごしています。

これまでは通っていた学校が
マンハッタンから離れた郊外にあり
なかなか行けなかったライブハウスの
ジャムセッションにも足繁く通い始め
相変わらずライブはたくさん見ています。

相変わらず貧乏ですが
バイトで貯めたお金のほとんどを
ライブにつぎ込んできます。
最近はこのままだとヤバいと思い始め
家計簿をつけ始めました笑。
家計簿も今はネット上のオンラインのものでやると
簡単でいろいろ便利な機能もついていて良いです笑

で、最近は
CDなどで事前に聴いたことのない
けれども気になっているアーティストを
いきなり生のライブで聴くという行為に
はまっています。
事前情報とか先入観とか変な期待なしに
純粋にいきなり生で聴くというのは
ほんと贅沢で最高です。
もちろん外れることもなくはないですが
どこで誰を見たら当たるのか
その匂いを嗅ぎつける能力が備わったのは
これまでの2年間の賜物かと。
最近はたいてい凄いライブばかり見ています。

こちらはジャズと言っても
みんなやっていることが様々で本当に幅が広い。
そしてその自由を謳歌し賞賛する寛容さがある。
もちろんそのすべてが
どこかで伝統という太い幹とつながっているのも
ひしひしと感じる。
僕自身、その幹に繋がっていながら
どんな方向に枝を伸ばし
どんな花を咲かせたいのかをいつも考えている。

今はとにかくいろんなものを吸収したくて
聴いたことのない新しい世界にとにかく興味があって
どんどん聴きに行くようにしている。
そんな中で自分の音楽というのが
少しづつ見えてくるんじゃないかと
いつも期待しているし
実際少しづつ見えてきていると思う。

そんな中で
おとといMiguel Zenon氏のレッスンを受けてきた。
若くして既にジャズ界では世界最高峰のアーティスト
と言っても過言でない素晴らしいサックス奏者。

本当に素晴らしい時間だった。
That was the greatest moment I've ever had
and he was one of the most amazing person ever.
という感覚を心の底から覚えた。

彼の家にお邪魔し
二人で一緒に演奏し、いろんな話をした。
たくさんのアドバイスをもらい
CDでは知ることのできない
彼の音楽家としての真摯な素顔や
普段の自分自身の音楽への取り組み方を
垣間見ることができた。

こちらの疑問に対して
自分の考えを惜しげもなく丁寧に答えてくれる。
謙虚でとても落ち着いた、清く優しい人物であることは
とあるライブハウスで会って最初に話したときから
感じてはいたことだが
1時間半に及ぶレッスンで
その感覚は間違いのない確信に至った。
音楽家として斯くありたいという人に
久々出会えた気がする。

レッスンを終えて、彼の家を後にし
夜行性の自分には久しく縁のなかった
慣れない昼間の晴れ晴れとした空の下
とても清々しい気分になったことは忘れない。

というわけで
最近ようやく身辺(?)が落ち着いてきたので
これからはどんどんライブをやっていけるように
準備を進めて行こうと思います。

最後に!
ツアーの動画をいくつか
YouTubeにアップしましたので
ぜひ聴いてみてください!
演奏した全てのオリジナル曲の
良いテイクばかりをあげたつもりです。
ヘッドホンかイヤホンで聴いて頂く方が断然楽しんで頂けると思います。

①Lexington At 50th Street
今回のツアーではセットの最初にやることの多かった曲。
去年の夏休み、バイト先の寿司屋で働いているときに
ふと思いついたメロディーをオーダー表に書き留めて
そこからできた曲です笑。その日は暇だったということ。
寿司屋の場所がそのままタイトルに。

②Let Go
留学2年目の集大成として書き上げた曲。
自分としては珍しく
ある程度の意図や狙いを事前に定めて書いた
今までの自作曲にはないスタイルの曲。
学校の練習室にこもってこの曲を作っていた日々は
今でもよーく覚えている。
タイトルは師であるJon Faddisから頂いた言葉ですが
これ以上詳しいことはここでは割愛します。

③TA-KE-YA-BU
留学1年目の集大成として書き上げた曲。
師であるJon Gordonに多くのアドバイスを頂きながら
何度も書き直した。
あんなに書き直すことは
それまでの作曲経験ではなかった。
渡米前の自分の作曲スタイルに
限界を感じていた中で
新しい何かを積極的に盛り込んだ
コンポーザーとしての
自分の殻を一つ打ち破った曲だと思う。

④Vertigo
今回のツアー中に書き上げた唯一の曲。
なのでツアーの最後3日しか演奏していない。
この動画はその最初、初演のもの。
ツアー中に一曲は書こうと決めていて
他のオリジナル曲にはない別の要素が欲しくて
結果こういう曲になった。
ひとたびアイデアが浮かんだらスイスイ
2時間くらいで完成したように思う。
7拍子の曲は初めて書いた。
元のタイトル(ツアー中のMCで紹介していた曲名)は
非常にダサく気に入ってなかったので
タイトルは変更された。

⑤Honest Ornette
名前の通り、Ornette Colemanに捧げる曲。
フリー。
これをツアー初日から最終日まで
必ず演奏したのは
出来はともかく
本当にチャレンジングだったと思う。
今後はこういう音楽も深く追求してみたい
と心の隅で思っている。
まだあくまで心の隅っこですが。

⑥浜辺の歌(オリジナルアレンジ)
ツアー中、いつも1番最後に
前のフリーをやった後に
まるで清涼剤のごとく演奏してました。
日本の唄をアレンジする取り組みは
これからも少しづつ続けて行きたいと思っている。
あと、個人的にこのテイクの自分のソロは
気に入っている。


HOPE YOU'LL ENJOY!!

というわけで
長々お付き合い頂き
ありがとうございました!
それではまた!